多数のご応募ならびにご投票、ありがとうございました!

厳正なる最終選考の結果、16名の方が受賞されました。おめでとうございます!
なお、皆様の投票結果も参考にさせて頂きました。各賞の賞金は4月末にお送り致します。
【募集テーマ】「ハラスメント」
【受付期間】平成31年1月16日〜3月8日
【応募総数】14,773句

 一般財団法人日本ハラスメントカウンセラー協会は、ハラスメント防止に関する事業を行い、職場の環境の改善を通して「働く人と会社等」を守ることを目的としています。
具体的にはセクハラ、パワハラ、マタニティハラスメントなどの様々なハラスメント防止にかかる教育と人材養成を行っております。
 特に、会社等の義務となっている相談体制を支える「ハラスメント相談員」などの教育と、会社等でハラスメントの被害者となってしまった方々や行為者となってしまった方々に寄り添い、改善を通して楽しい職場を作るための活動をしていく「ハラスメントカウンセラー」の教育に取り組んでおります。
 この度、ハラスメント防止に係る意識の向上とハラスメント教育の理解度調査の一環として、「第1回ハラスメント川柳コンテスト」を開催いたしました。
 本コンテストは、平成31年1月中旬に募集をスタートして、3月11日に締め切りましたが、応募総数1万4773句という極めて多数の応募がありました。別名で多数句の応募をする方々も多く、正確な応募者実数は把握できませんが3,000人を超えていると思われます。
 本コンテストにご応募下さいました皆様には、謹んでお礼申し上げます。
 なお、「ハラスメント川柳に関する総評」「川柳から浮き彫りになるハラスメントの理解度」、「防止教育に関する意識」などにつきまして、追って本ページ及び協会ホームページでご報告させていただきます。

第1回「ハラスメント」川柳コンテスト最優秀賞寸評

第1回「ハラスメント」川柳コンテスト最優秀賞

第1回「ハラスメント」川柳コンテスト特別賞寸評

第1回「ハラスメント」川柳コンテスト特別賞


第1回「ハラスメント」川柳コンテスト特別賞寸評

第1回「ハラスメント」川柳コンテスト特別賞

カスハラの 父の後ろで 子が詫びる馬鹿間抜け 朝の鏡に 云ってみる
やっとかめ伊藤 義照

父:「おい、こら、このゲーム機、3カ月で3度も壊れたじゃないか」「新品に取り換えろ」「仕事を休んで来たんだ、3日分どうしてくれる!損害賠償しろ!」
 子:「お父さん!もういいよ」「父さん!僕が3回落としちゃったんだ、ごめんなさい」「なくても我慢するから、もういいよ―」
 カスハラとは「カスタマーハラスメント」のことを言いますが、昨今、販売の現場で大きな問題になっています。販売員の方は大変ですね。現場では、詫びるのは子ではなく、「カスハラの、客の後ろで、妻詫びる」なんて光景が多いようです。
結構深い句で、ヒネリ、穿ちもあり秀作です。カスハラ防止の動画とかポスターになりませんでしょうか。

女優さんが、朝の鏡で毎日「笑顔チェック」をする話を聞いたことがあります。一度、馬鹿・間抜けと鏡に向かって、大きな声で言ってみて下さい。
 「嫌な顔をしている自分」がそこにいるはずです。あんな嫌な顔をするパワハラなんて、二度としたくないと思うのです。毎朝でなくても効果てきめんです。
 ちょっと分かりにくいですが、人間心理を読んだ、すごく深い句です。パワハラ防止特別賞を差し上げたいと思います。


セクハラが 怖くてできぬ プロポーズ

触らない 忍者のように すれ違う
ひとりものちょこっとみんと

この作者は本当にセクハラが怖くてプロポーズが出来ないと思っている訳ではないと思います。セクハラに対する過剰反応の批判をされているのでしょう。
 応募の中に「プロポーズ セクハラ認定 100回目」なんて句もありましが、何度も何度も「結婚して」とか、「子供を作ろう」なんて迫るスタイルは、シャイな現代人には合わないのかもしれませんが、決して侮るなかれ、このタイプのプロポーズも決して確率が低い訳ではありません。
 そもそも、プロポーズって練習が出来ないから、その点が難しいですね。でも1回で成功する確率はもともと高いと思います。私もそうですが、プロポーズを何回もしている人は少ないのではないでしょうか。
 100回は多いと思いますが、セクハラになるなどと過剰反応をせず、どんどんアタックしましょう。

事務所の狭い机と机の間、或いは、荷物が積んであって、狭くなっている通路を部長が行く、先方から若い女性が来る。
 昔なら、女性は部長をやり過ごしてから自分が通ってくれたものです、でも、部長、時代です。「部長が女性をやり過ごしてから」行ったほうが、いいんじゃないでしょうか。
 忍者のようにすり抜けたいお気持ちは解りますが、体型とか、年とか、動きとかがありますから、無理をしない方がいいと思います。しくじって、よろけて、抱きついたりしたらそれこそ大変です。
セクハラに怯える時代を的確に映す大変おもしろい秀作です。


パワハラに おびえて課長 おちょぼ口

イケメンと 同じ態度で 大惨事
小口者ぼくちん

おちょぼ口とは、調べてみると「小さくつぼめた口つき」「口が小さくてかわいらしいさま」を言います。また「おちょぼ」とは「かわいい少女のこと」とあります。
 小中学校の音楽の時間、合唱の時に先生が「おお―きく、口をあけてー」といつも言っていたのを思い出します。大きな口を空けると大きな声、美しい声が出るようです。
 課長のパワハラをしたくないという、優しいお気持ちは良く解りました。でも、おちょぼ口で部下に叫んでも、パワーも、インパクトもありません。言いたい事も伝わりません。
 次からは、優しい課長が人の気持ちを思いやることを考えながら、内容を工夫して「おおーきく口を開けて」話して欲しいと思います。

応募作品の中に「イケメンと、同じ事して、俺ハラス」とか、「キムタクは……」とか、同じ内容を表現する句が多数ありました。
本川柳は同じ気持を「一ひねり」した句で、「嫌味」をなくした秀作です。
 ところで「たぶんセクハラ」をしたのだろうと思いますが、イケメンだったら「大丈夫」で、顔の悪い貴方だったら「大惨事」になるような態度とは何だったのでしょう。
 川柳は理屈では無いので、追求しませんが、考えてみても、何をして大惨事を招いたのか、よく解りませんねー。そもそも本当は悪い事をしたんだけど、イケメンが許されるのが羨ましかったんですね。
 ところで、「羨む」「悔しい」気持ちは私にもよく分かります。悔しさを紛らわすために「良い顔の、君うぬぼれて、大惨事」といった句があるぞ、「気を付けろよ」とイケメンに言ってやりましょう。


パワハラに ワラ人形で 応戦し

おとなでも いじめがあるのと 子に問われ
島根のぽん太はるやす

「悪代官に娘が辱めを受けた」と、「お奉行さま」に訴えたのに無視された。水戸黄門は来ない。仕置き人もいない。残るは、夜中に神社で、怨念を込めて「藁人形に釘を打ち付ける」。昔、見た時代劇です。
 ハラスメント防止の第1ステップは相談体制を作る事です。相談窓口で相談員が丁寧に対応すればワラ人形は要りません。
 ハラスメント対応が出来ていないことに対する風刺川柳になっています。ただ、時代劇を見る人が少なくなってきて、理解者が減ってきているのだと思います。人気投票では上位には食い込めませんでしたが、時代劇的な秀作だと思います。

「大人の世界にはいじめ」はありません。ですから、学校でいじめられている皆さん、大人になるまで頑張って下さい。そして、いじめで自殺や引き籠りなんか絶対にしてはダメですよ。と答えたいですね。ハラスメント防止は必須ですね。
 でも、こう答えるには無理があります。私はここで、次のように答えたいと思います。
 「会社でもいじめはあるけれど、そういう時は必ず会社が助けてくれるんだ」、会社では「いじめ」とは言わず「パワハラとかセクハラ」と言うんだけど、パワハラなどを受けた時の相談窓口があって、「相談すると、誰にもわからず、会社の担当者がすぐに解決してくれるんだ」と言ってあげたいと思います。
 君も学校とかの友達にいじめられたら、児童相談所の電話189(いち早く)に電話しなさい。警察の少年相談窓口でもいいよ、と。


AIに 部下への注意 任せたい

言いづらい 2人目いるの また、腹に
ももこトトロ大好き

今回の川柳コンテストでは、AIが登場する作品が多かったのもご時世でしょう。 パワハラ防止の法制化が近付いていますが、怒りとか、虚無感とかを感じている管理職が多いと言われます。部下に強く注意したり、怒ったりできない、どうしていいか分からない。
 20XX年、ほとんどの仕事はAIにとって代わられる、とかいわれていますが、そんな先のことはどうでもいい、できることなら今すぐAIに部下を注意する仕事を代わってほしいと考える悩み深き上司の一句です。
 AIが活躍しているらしい。「AI」なら何でもできる。この際、部下の指導もAIに任せよう。
日々の疲れと無責任がこの句を生んだと思います。お気持ちはよく解ります。

進行する少子高齢化の中で、マタハラは絶対に防がなければなりません。15歳から49歳までの1人の女性が生涯に産む赤ちゃんの数を特殊出生率といいますが、現在日本の特殊出生率は1.43しかありません。
 人口再生に必要な出生率は2.08と言われています。様々な生き方がありますから一概に言えませんが、個人的には2人目を身籠ったら「自慢する」ようにしたいですね。
 8人兄弟だった筆者の母親が、昔、実感を込めて「6人目、7人目を生んだ時は恥ずかしかった」と言っていました。
川柳と言うより、冴えたダジャレで「少子化の日本社会とマタハラを憂う」おもしろい句です。


セクハラと 妻に言われる 倦怠期

セクハラと 娘に言われ パパ涙
さごじょうエダ

倦怠期について「結婚して半年で来る人もいるが、2年・3年経てば必ず来る」、いや「恋人同士でも来る」などと、人は勝手な事を言っています。でも、まあ、いずれ来るなら、ジタバタしてもしょうがないんじゃないですか。
 大丈夫、少々、セクハラといわれても、夫婦間であれば、滅多なことでは罪に問われません。それよりも投稿された句では、いつも奥さんにパワハラを受けている人が多いようです。パワハラとセクハラの応報合戦にならないように仲良くしましょう。

この娘は何歳でしょう。パパは何をしたのでしょうか。「涙した」事を考えると、私は、次のようなシーンを想像しました。
 まず娘は2歳半から4歳半、お風呂で、パパは体を洗ってあげたんだと思います。或いは、ほっぺに「チュー」したのかもしれません。
 ところで、この娘が5歳を超えていると感じたら川柳になりませんし、入選作にも選びませでした。
 いずれにしても、これからは洗うのは頭と足だけにしましょう。チューはどうしましょう?
 セクハラという言葉が子供にまで浸透し、社会全体が意識している証拠となる「時代の証明」だと思います。この川柳から推測すると、将来セクハラは消滅して過去のものになりそうです。いや、なるといいですね。


ハラハラと ドキドキまでの オレの恋
岩嶋 洋

「セクハラってなんだよ、ハラハラする事じゃあないのか」「昔はな、女性に付きまとったり、必要以上に接近したり、まして触ったりなんかしなかったんだよ」。「セクハラなんて、女神様にそんな野蛮なことは絶対しなかった」。俺はただ、「ドキドキ」して遠くから見てただけだったんだ。
 ご高齢な作者の句です。川柳慣れした、深くて、粋で、素晴らしい句です。ご年配の方のロマンティックを感じますが、さて、昔は、本当に、皆が、そうだったのでしょうか。


  • 当協会グループが過去に開催したコンテスト



  • 「似顔絵」川柳コンテスト

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